介護施設での防災対策を紹介!要介護者への対応も解説

地震や台風などの自然災害は、いつ起こるのかは誰にもわかりません。災害が起きた際、どのように対応すればよいのかがわからなければ、パニックに陥ってしまうおそれもあります。

特に介護施設では、施設利用者がすぐに避難できるとは限らないため、迅速な判断が求められるのです。

この記事では、介護施設でどのような防災対策をすればよいのか紹介します。要介護者への対応も解説するので、介護施設の防災対策を強化したいと考えている方はぜひ参考にしてください。

介護施設でできる防災対策とは

防災対策は平常時に行うのが基本です。もし災害が起きても準備ができていれば、慌てることなく迅速な対応がとれます。

では介護施設でできる防災対策には、どのようなものがあるのでしょうか。これから紹介する内容はすぐにできる対策も含まれています。

実践できそうな内容はぜひ取り入れてください。

立地条件の把握と災害予測

介護施設の立地場所や周辺環境によって、予測するべき災害は異なります。介護施設がどのような場所に建っているのか、どのような災害が起こる可能性があるのかを事前に把握しておきましょう。

ハザードマップを確認すれば災害が発生した際、危険箇所はどこか、どこに避難すればよいのかが簡単にわかります。また行政に問い合わせる方法も有効です。

立地条件によってどのような災害が発生するのか、いくつかの例をあげるので参考にしてください。

施設の立地条件予測される災害
河川の近くや海沿い、沿岸河川の氾濫による浸水や津波による浸水などの水害
山の近く山崩れや地すべり、土石流などの土砂災害

防火対策をする

地震や水害などにより、電気のショートやガスコンロの転倒によって火災が発生するおそれがあります。ガスコンロや可燃物などの適切な管理と、災害発生にすぐ使えるよう消火器の設置が重要です。

出火や延焼防止で考えられる対策をいくつか紹介します。

  • 設備や器具を選ぶ際は、感電自動遮断装置が備わっているものを選ぶ
  • 可燃性危険物や薬品などは落下の危険がなく、火気がない場所に保管する

消化対策はこちらを参考にしてください。

  • 消火器や消火栓を設置する
  • 消火器の有効期限の確認を定期的に行う

ガス漏れ対策もいくつか紹介します。

  • ガス会社に連絡してマイコンメーターの設置を検討する(マイコンメーターとは地震の発生やガスの圧力などに異常が発生した際、ガスを止めたり警告を表示したりする装置のこと)
  • ガスを供給している元栓の場所を把握する
  • プロパンガスのボンベが転倒しないように、固定器具と鎖で固定する
  • ガス配管にあそびをもたせて、地震が発生したときの切断や抜け落ちを防止する

備品の落下や窓ガラスの飛散等を防ぐ

地震や水害などにより備品の落下や窓ガラスの飛散などが発生すると、施設利用者や職員がけがをするおそれがあります。また通路がふさがれてしまい、逃げ遅れる危険も考えられます。

このような被害を防ぐためには、下記の対策が有効です。

  • 廊下や階段、出入口などには避難の妨げになる不必要な物品は置かない
  • 机やロッカーなどは転倒しないように、金具などで固定する
  • 窓ガラスの割れ防止には、網ガラスや強化ガラスなどの割れにくいガラスの購入や、飛散防止フィルムによる補強が有効
  • 窓ガラス付近にはロッカーや植木鉢などを置かない
  • 地震の振動による落下物対策として、照明器具の取りつけ状態の定期的な確認や、鎖などで固定する

連絡体制を整備する

非常時にトップダウンで情報を共有できるように、職員の緊急連絡網を整備してください。職員の呼び出しや待機などを命じ、速やかな警戒体制を確保するために必要です。

また災害発生時は、誰の指示に従えばよいのかがわからなければ、初動が遅くなってしまいます。指示系統の明確化や、トップ不在時の責任者は誰にするかなども決めておくとよいでしょう。

情報の共有は職員への一斉メール送信が便利です。災害発生時に速やかにメールが送信できるよう、事前に文章を定型化しておくことをおすすめします。

定型文の一例をあげますので、参考にしてください。

  • 〇〇です。(職員の名前)現在△△にいます。あと□□分で介護施設に到着予定です。
  • 〇〇です。××の理由により介護施設に向かえません。自宅にて待機します。

備蓄を確保する

災害が発生するとライフラインの停止や、交通の麻痺による支援物資の受け取りが困難になるといった事態が予想されます。施設利用者のケアができないことはもちろん、場合によっては生命が危険にさらされる可能性もあります。

施設利用者や職員の生活を確保できるよう、食料や毛布などの備蓄を前もって行うことが重要です。

また大地震が起きた場合、救援活動が行われるまでに最短でも3日といわれています。手元に行きわたるまで時間がかかる可能性も考慮して、6日間は支援物資が届かなくても施設の運営が維持できる物品を備蓄しておくとよいでしょう。

必要な備蓄品の一例はこちらです。

  • 非常食や保存食(レトルト食品やフリーズドライ食品が望ましい)
  • 非常用飲料水
  • 医薬品
  • 食器(食器にラップを敷いて使えば洗わずにすむ)
  • タオル
  • ポリ袋
  • 簡易トイレ

特に要介護者に必要な防災対策とは

要介護者は災害が起きた際、なんらかの支援が必要です。事前に防災対策を行っていなければ、いざというときに困ってしまうでしょう。

ここからは要介護者に必要な防災対策を紹介します。介護施設だけでなく、訪問ヘルパーの視点からも解説するので参考にしてください。

非常用介護食を用意する

嚥下(えんげ)機能が衰えている要介護者は誤飲や誤食のおそれがあるので、高齢者用の非常用介護食を用意しておくと安心です。災害時に支給される食べ物はおにぎりやパンがあるのですが、要介護者にとっては食べにくさを感じてしまうケースも珍しくありません。

災害が起こる前に、ときどき高齢者用の非常用介護食を食べてもらいましょう。習慣化しておけば、いざというときにも高齢者用の非常用介護食を食べてもらえるはずです。

またとろみ剤を食べ物や飲み物に混ぜると、嚥下防止につながります。多めに用意しておくとよいでしょう。

健康関連の用品を一式にまとめる

災害が起きた際にすぐ持ち出せるよう、前もってリュックサックなどに健康関連用品をまとめておくと便利です。

入れておくと便利な健康関連用品はこちらです。

  • 健康保険証のコピー
  • 常備薬
  • 服薬している薬の一覧表(他の人が見てもわかるもの)
  • 現在使用している医療物品の予備一式
  • マスク
  • メガネや杖

また余裕があれば非常食や水、懐中電灯なども入れておくとよいでしょう。ただし、あまり詰めすぎると重くなってしまうので、リュックサックを実際に背負ってみて重さと大きさを確認しておいてください。

家具の転倒を防ぐ

介護施設の場合は、転倒するものを施設利用者の近くに置かないなどの対策を行っているケースが多くなっています。しかし訪問ヘルパーは、利用者の家に訪問するため、固定されていない家具を見かける場合もあるでしょう。

地震などにより家具の転倒で利用者がけがをしないように、タンスの突っ張り棒や滑り止めシールの設置を提案することをおすすめします。

避難所や避難経路を把握する

災害によっては介護施設から避難所への避難が必要なケースも考えられます。介護施設から非難するにはどの避難所が近いのか、また避難経路はどうするのかなどを把握しましょう

訪問ヘルパーの場合は、利用者ごとの避難所や避難経路を把握しておくのも大切です。ハザードマップを確認するなど、事前に対策しておきましょう。

福祉用具を用意する

避難所へ避難することになった場合、車いすや杖があると便利です。また、いざというときに施設利用者を担いで避難できるよう、おんぶ紐も用意しておきましょう。

また車いすは押して移動するため、介助する側は腕力が必要です。そこで前輪を持ち上げて移動するけん引式車いす補助装置があれば、長時間の移動も楽になります。砂利道のように舗装されていない道でもスムーズに移動できるでしょう。

まとめ:介護施設は前もって防災対策に力を入れよう

大地震や大型台風の上陸など、日本はこれまでに多くの災害に遭ってきました。これからもさまざまな災害被害に遭うことでしょう。

介護施設では多くの施設利用者がすぐに避難できるとは限りません。介護施設の職員は素早い対応と判断が求められます。

防災対策は事前準備が大切です。この記事で紹介した立地条件の把握と災害予測や連絡網の整備などを行えば、施設利用者を素早く安全な場所に避難させられるでしょう。

施設利用者や職員の安全を確保するために、今できる防災対策を取り入れてはいかがでしょうか。